【元オーナーが語る】カングー S MT試乗記に見る「ウソ」と「ホント」
先日発表された、カングーの限定車「S MT」。
【試乗】走りの楽しさと実用性とエンタメと三拍子揃ったルノー カングーS MT – WEB CARTOP
ボルベットのホイールと、社外オーディオを標準装備し、価格据え置きの限定車なのですが、試乗記は大絶賛なようですね。
ですが、全てを鵜呑みにしちゃダメです。元オーナーの自分だからいえる「ウソ」と「ホント」の情報をぜひご覧ください。
ホント:「運転のしやすさ」
さて、ルノーカングーS MTを走らせてみよう。クラッチは軽めで、
ミートポイントがじつにつかみやすく、 エンジンは低回転域から有効なトルクを発揮するため、 MT初心者でも楽々発進することができる。 このあと紹介する自然なドライビングポジションもそうした運転の しやすさに貢献している印象だ。
これは本当です。1.2Lのターボと聞くとピーキーなイメージがあるかもしれませんが、ごく自然にミートでき、普通に発信できます。
ただ書かれていないポイントで、1速がローギアードなため、すぐ2速にシフトアップしないともたつきます。なかなか前に進みません。
ウソ:「ウルトラスムース」「高回転まで回しても不快な振動がない」→いえいえ、高回転型のエンジンではありません
シフトはコクッと気持ち良く決まり、1.2リッターターボエンジンは低回転域から豊かなトルクを発揮し、
軽やかに加速。 そして6000回転あたりまでウルトラスムースに、上質に回り、 高回転まで回しても不快な振動、ノイズとは無縁。 回すことをためらわせない、世界の1.2リッター級ダウンサイズ実用ユニット最高峰のエンジンと言ってしまい たい。
「回すことをためらわない」と書かれていますが、ためらいます。
高回転まで回したくなくて、できれば4000回転あたりでシフトアップしたいです。
ちなみに主要諸元は以下の通りです。
- 最高出力(EEC):84kW(115ps*1)/4,500rpm
こんなエンジン特性で、だんだんパワー感が頭打ちになってきます。
過去の試乗記事を見ても、そんなに回したがらないエンジンというような書かれ方でした。それに同意できるのですが、今回の記事内容は明らかに「ウソ」です。
ウソ:「ノーマルモードからエコモードに切り替えても、パワーがガクリと落ちることはない」 →いえいえ、落ちます。
ちなみにエコモードを持ち合わせ、
なかなかの実用燃費の持ち主なのだが、 エコモードONでも動力性能にまったく不満なし。 ノーマルモードからエコモードに切り替えても、 パワーがガクリと落ちることはないのである。
ガクリと落ちます。もしかしたら、このライターさん、街中限定試乗で言及されているかもしれません。
試乗コースにもよると思いますが、高速道路ではガクリ度合いが顕著です。エコモードで高速を走ると、「いくら踏んでも前に進まない」。気づいたらエコモードでした、ということが多々ありました。なかなか前の車についていけません。高速ではノーマルモード必須。
一方、街中ではエコモードの方が走りやすいです。理由はトルクの山ががなだらかになるからです。多少踏んでも穏やかなトルク特性になるので、街中ではエコモードを推奨します。
ウソ:「そして乗り心地も完璧である」
→いえいえ、乗り心地は良くないですよ。後席は最悪です。
そして乗り心地も完璧である。低中速域の市街地走行、
高速域の高速走行、荒れた路面を問わず、 素晴らしく上質でフラット。 たとえば段差やマンホールなどの路面の突起物を、 サスペンションと車体がしなやかにいなし、終始、 極上の快適感をフラットライドのまま維持してくれるのだ。
乗り心地は完璧ではありません。これまで乗ってきた車の中でも、乗り心地は悪い部類に入ると思っています。元々商用車であるがゆえに、後席の乗り心地はとても硬いです。ガタンガタン揺れます。コンビニの駐車場に入る段差を乗り上げてください。しなやかさとは程遠いほど揺れます。もちろん路面次第ですが、上質でもないしフラットでもありません。
まとめ
ネガな部分には、一言も触れられていない記事なので、だいぶヨイショしちゃってます。とはいえ、室内は広いし、ハンドリングはこの車高では極上といっていいほどファンだし、乗ってて楽しい車であることに間違いはありません。
ネガな部分が気にならない人には、とてもオススメの一台です。